腸は「心・睡眠・美容」にまで関係する?

腸内環境とセロトニン、メラトニン、そして肌の意外な関係

PART 1では、

「腸は、お通じだけのためにあるわけではない」

という話をしました。

腸内細菌は、栄養、免疫、代謝など、私たちの身体のさまざまな仕組みと関係しています。

でも、腸の世界にはまだまだ驚くような研究があります。

それが、

腸と脳。
腸と睡眠。
そして、腸と美容。

という関係です。

今回は、PART 1の続きをお届けします。

 

 

腸と「心」は関係している?

「腸脳相関」という言葉を聞いたことがありますか?

これは、腸と脳が一方通行ではなく、

お互いに影響し合っている

という考え方です。

例えば、

「緊張するとお腹が痛くなる」

「ストレスがあるとお腹の調子が変わる」

という経験。

これは、腸と脳が無関係ではないことを身近に感じられる例の一つです。

腸と脳は、

・神経系
・免疫系
・ホルモン
・腸内細菌が作る代謝物

など、さまざまな経路を通じて関係していることが研究されています。

そして、その中でも特に注目されているのが、

「トリプトファン」

という物質です。

 

「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニ

セロトニンという名前を聞いたことがある方は多いと思います。

セロトニンは脳内で神経伝達物質として働き、気分や感情などに関係しています。

一方、身体全体で見ると、セロトニンの多くは腸などの末梢で作られています。

ここで重要なのは、

「腸で作られたセロトニンが、そのまま脳に入って幸福感を作る」

というわけではないこと。

腸で作られたセロトニンと、脳内で働くセロトニンは基本的に別のものとして考える必要があります。

では、腸はどう関係するのでしょうか?

そこで登場するのが、

トリプトファン

という必須アミノ酸です。

トリプトファンは食事から摂取する必要があります。

そして体内では、

トリプトファン

5-HTP

セロトニン

メラトニン

という経路で利用されます。

さらに、腸内細菌はトリプトファンが体内でどのように代謝されるかに影響することが分かってきています。

つまり、

腸内細菌がセロトニンを脳に運ぶ

という単純な話ではありません。

むしろ、

腸内細菌が、セロトニンやメラトニンにつながる「トリプトファン」の使われ方に影響する

というところが、現在注目されているのです。

 

 

そして、セロトニンは「睡眠」ともつながっている

ここから、さらに面白くなります。

メラトニンは、私たちの体内時計や睡眠・覚醒リズムの調節に重要なホルモンです。

そして生化学的には、

セロトニンはメラトニンを作るための前駆体の一つ

です。

そのため、

トリプトファン

セロトニン

メラトニン

睡眠・体内時計

というつながりが研究されています。

では、

「腸内環境を整えれば、睡眠の質も良くなるの?」

と思いますよね。

 

 

腸と睡眠の関係は、現在研究が進んでいる

現在、腸内細菌と睡眠との関係について、世界中で研究が進められています。

腸内細菌は、

・トリプトファン代謝
・短鎖脂肪酸
・免疫や炎症
・ストレス反応
・体内時計

など、複数の経路を通じて睡眠と関係する可能性が考えられています。

つまり、

「腸と睡眠は無関係ではない」

ということ。

ただし、

「腸内環境を整えれば必ず睡眠の質が上がる」

と断定できる段階ではありません。

ここは、現在まさに研究が進んでいるところです。

でも、

「食事」
「腸内細菌」
「脳」
「睡眠」

が完全に別々のものではない。

そう考えると、身体って本当に面白い!

 

 

 

そして、もう一つ気になる「腸と美容」

ここで、昔からよく言われてきた言葉を思い出してみてください。

「便秘すると肌が荒れる」

聞いたことがありませんか?

「便秘が続くと、なぜか肌の調子まで悪くなる」

そんな経験をしたことがある人もいるかもしれません。

実は現在、

腸と皮膚の関係

も研究されています。

この関係は、

「腸―皮膚相関(Gut-Skin Axis)」

と呼ばれています。

 

 

便秘と肌荒れって、本当に関係あるの?

現在の研究では、便秘のある人では腸内細菌の構成や代謝に違いが見られることがあります。

また、便秘とニキビやアトピー性皮膚炎など、さまざまな皮膚状態との関連を調べた研究もあります。

ただし、

「便秘になると腸の毒素が肌に回って肌荒れする」

という昔ながらの説明を、そのまま科学的事実として考えることはできません。

肌荒れには、

・ホルモン
・睡眠
・ストレス
・紫外線
・食生活
・スキンケア
・遺伝
・加齢

など、本当にたくさんの要因が関係しています。

便秘も、その一つの背景として関係している可能性が研究されている、という理解が適切です。

 

 

実は「便秘と肌荒れ」に共通の原因があるかもしれない

ここも大切なポイントです。

便秘と肌荒れが同時に起こっている場合、

便秘が肌荒れを直接起こしている

とは限りません。

例えば、

食物繊維が少ない。

水分摂取が少ない。

運動不足。

睡眠不足。

ストレスが多い。

食生活が偏っている。

こうした生活習慣は、便通にも肌にも影響する可能性があります。

つまり、

同じ生活習慣が、腸と肌の両方に影響している

可能性もあるのです。

だからこそ、

「肌が荒れたから、スキンケアだけを見直す」

のではなく、

食事・睡眠・ストレス・運動・お通じなど、身体全体に目を向けてみる。

そんな考え方も大切なのではないでしょうか。

 

 

 

「腸を整える=美容に良い」と断言できる?

ここも慎重に考える必要があります。

腸内環境と皮膚の関係は、現在研究が進んでいる分野です。

「腸活をすれば肌がきれいになる」

と断定できるほど、すべてが解明されているわけではありません。

でも、

腸内細菌

免疫

炎症

代謝物

皮膚

という複数のつながりが研究されていることは確かです。

美容というと、

「肌に何を塗るか」

に目が向きがちです。

でもこれからは、

「身体の内側も含めて美容を考える」

という視点が、ますます重要になってくるのかもしれません。

 

 

腸は「お腹」だけの話ではなかった

ここまで見てくると、

腸は単に「便を出す場所」ではないことが分かります。

食べ物を消化する。

栄養を取り込む。

腸内細菌と共存する。

免疫と関係する。

代謝と関係する。

脳との関係が研究される。

トリプトファンの代謝に関係する。

セロトニンやメラトニンとの関係が研究される。

そして、

便秘や腸内環境と肌との関係まで研究されている。

もちろん、まだ分からないこともたくさんあります。

だから、

「腸を整えれば全部うまくいく!」

という話ではありません。

でも、

腸は、私たちの健康と美容を考えるうえで、とても重要な場所の一つ。

そう考える価値は十分にありそうです。

 

 

腸を大切にすることは、自分を大切にすること

特別なことをしなくても大丈夫。

毎日の食事。

適度な運動。

十分な睡眠。

ストレスとの付き合い方。

そして、いろいろな食品をバランスよく食べること。

そんな小さな積み重ねが、私たち自身の身体だけでなく、腸内に暮らすたくさんの微生物たちの環境にも影響しています。

 

 

 

今日から、自分の「腸」に目を向けてみませんか?

「最近、食生活が乱れているな」

「野菜が少ないかも」

「睡眠時間が足りないな」

「最近ストレスが多いな」

「そういえば、最近お通じも……」

そんな小さな気づきで十分です。

腸内環境は、一日で変わるものではありません。

だからこそ、

毎日の小さな選択を積み重ねること。

それが大切なのかもしれません。

そして何より知っておきたいのは、

腸は、私たちが思っている以上に、身体全体とつながっている。

ということ。

「お腹のため」だけではなく、

心のため。
睡眠のため。
健康のため。
そして美容のため。

これからも元気に、自分らしく過ごすために。

今日から少しだけ、

自分の「腸」に目を向けてみませんか?

 

 

パート1『実は知られていない「腸活」が注目される本当の理由とは?』

 

 

執筆者 HOKARI KAZUYA

 

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