安い卵を求めた結果として日本ではゲージフリーが広がらない
日本人は卵が大好きな国民と言われています
国際卵委員会(IEC)の発表によると、日本人が食べる卵の量は一人あたり年間337個
世界平均である166個の倍以上で、メキシコ(368個)に次ぐ世界第2位のタマゴ消費大国なんです
株式会社 日向の鳥辺康則です
そんな物価の優等生と言われた卵も価格の上昇や鳥インフルエンザによっての品不足等が続き入手が難しい時期もありました
そんな卵ですが今大きな変化が起きています
世界では家畜にとってストレスや苦痛が少ない飼育環境をめざす「アニマルウェルフェア」が拡大してます
「アニマルウェルフェア」とは動物の福祉という意味で、最終的には命を頂く家畜に対しても、生きている間はストレスや苦痛を和らげ、快適性に配慮した飼育方法のことです
過去にそれに対して書いたブログもあるので興味あったら読んでください⬇︎
・欧米を中心に世界で広がりつつある「アニマルウェルフェア」って何?
https://117kirei.com/20220216toribeblog/
具体的には鶏を飼う飼育条件がバタリーゲージからゲージフリーに変わってきてるということです
「バタリーケージ」とはワイヤーでできた小さなケージのことです
その中にニワトリを詰め込んで育てます
1羽のニワトリに与えられるスペースは平均B5サイズ(257mm×182mm)とも言われ、iPadと同じくらいの面積しかありません
しかもケージは何段にも積み重ねらて狭い面積でたくさんのニワトリを育てられており衛生上的にもとても劣悪な環境です
メスのニワトリは狭いバタリーケージのなかで年間300個ほどの卵を産み続けます
それと対照的に「ゲージフリー」とは平飼いや放し飼いで育てる飼育方法です
そして今世界ではバタリーゲージを禁止して、ゲージフリーに移行する流れが加速しています
EUでは2012年から全面禁止
米国や豪州の一部の州でも禁止されています
スイスなどケージ飼育そのものを廃止する国もあります
グローバル企業もこの流れに追随してます
スターバックスが2020年中に完全移行、ネスレは2025年までの実現を表明しました
アメリカではマクドナルドなどを始めとして大手企業が「ケージフリー」飼育の卵への切り替えを宣言しています
企業だけではなくてアジアにもこの流れは広がっています
養鶏が盛んなタイでは大手食品企業がケージフリーを推進
韓国では鶏1羽あたりの飼育スペースを定めた新たな法律が施行されました
では、わが国日本ではどうのでしょうか?
実は99%近くがいまだにバタリーゲージでの飼育なんです
日本にはケージフリーで飼育する鶏の割合を明らかにした公式なデータは存在しません
しかし、今回NPO法人アニマルライツセンターはこのほど、ケージフリーで飼育する国内の鶏の割合は1.11%だと公表したんです
1%です
米国やヨーロッパ諸国・韓国・オーストラリア・ニュージーランドなどにはケージフリーで飼育した鶏の公式なデータが存在します
そのデータによると欧州や米国・オーストラリアなどは飼育する半数以上の鶏がケージフリーに切り替わっています
アジアでも韓国は4.6%(公式データから)インド22%・インドネシア12%と公表されてます
どれだけ日本が遅れてるか理解していただけますでしょうか?
この1.11%はどう考えても世界最低レベルだと言うことです
なぜ日本でゲージフリーが広がらないのか?
それは日本人が価格だけの価値を求めて安い商品を買うからです
他の国々ではちょっと高くてもアニマルウェルフェアの観点からゲージフリーの卵を買う人が増えているのです
1パック400円から600円するのですが安全性や衛生面などから考えても良いと言う価値観を持ってるのです
でも日本ではまだまだ安いものが選ばれてしまう
現在販売しているケージフリーの卵の値段は、通常の1.5倍から2倍です
今アメリカではスーパーや外食チェーンを中心にゲージフリー卵を表明をする企業が相次いでいます
その数300社以上になっています
年間20億個もの卵を調達する大手ファストフードチェーンも次のようなことを発表しています
“2025年までに、全ての卵をケージフリー卵に切り替えます”
いずれもアニマルウェルフェアを経営課題の大きな柱と位置づけているからです
この世界的流れに日本はついていけるのか?
そんなことを本当に考えてしまいます
消費者のマインドが変わらない限り、企業も変わらないんです
我々が買い物が投票だと言う考え方で、環境問題や生物多様性の問題も考えながらエシカルな消費をしない限り変わりません
そして安いものだけが価値があるみたいな流れを断ち切るしかないのです
今回そんなこと思ったのでブログに書きました
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